音量とアクセント — MML 連載 #3

Published: May 22, 2026 by mewlist

MML 連載シリーズ の 3 回目です。本シリーズで扱う MML 記法は MewMMLPad(VST3 / スタンドアローン / ブラウザ版) のものです。記事内の例はすべて MewMMLPad の Web プレイヤー上で動かしながら確認できます(PMD / FMP など他環境の MML とは方言が異なる箇所があります)。

今回は 音量とアクセント を扱います。V でベロシティの絶対値を決めて、) ( で相対的に増減し、$Accent モードで大文字 / 小文字を強拍 / 弱拍に使い分ける、という流れです。これでフレーズに 抑揚 が付けられるようになります。

ベロシティとは

MML の音量は MIDI のベロシティ に対応します。0〜127 の範囲で、数字が大きいほど強く鳴ります。

ピアノで言えば「鍵盤を叩く強さ」、ギターで言えば「弦を弾く力」のイメージ。ベロシティの差が音色そのものを変える楽器(FM 音源、サンプラー、内蔵シンセの ADSR 設定)では、強弱はそのまま 音色のキャラクター差 になります。

V で値を直接指定

V<数字>(0〜127、既定 100)でその時点以降のベロシティを設定します。

A T120 o4 L4 Q4
A V30 c V60 c V90 c V127 c

4 つの c を、V30 → V60 → V90 → V127 と段階的に強くしています。クレッシェンドの一番粗いやり方です。

)( で相対増減

毎回 V<数字> を書くのは煩雑なので、現在のベロシティから一定量だけ動かす ショートカットが用意されています。

記号 効果
) ベロシティを lv ぶん 上げる(既定 +8)
( ベロシティを lv ぶん 下げる(既定 -8)
A T120 o4 L8 Q4
A V60 c ) c ) c ) c ) c ) c ) c ) c   ( c ( c ( c ( c ( c ( c ( c

V60 から 8 刻みで上昇 → ピークで折り返し、8 刻みで下降。手書きの クレッシェンド → デクレッシェンド がこれだけで書けます。

lv で増減量を変える

) ( の刻み幅は lv<数字> で変更できます(既定 8)。

A T120 o4 L8 Q4
A V60 lv4  c ) c ) c ) c ) c   r4   V60 lv16  c ) c ) c ) c

前半は lv4(細かく増加)、後半は lv16(大きく増加)。同じ ) の数でも上がり方の幅が違います。長いフレーズで滑らかに上げたいなら lv を小さく、短い区間で一気に持ち上げたいなら lv を大きくします。

)24 で増減量を直接指定

) ( の直後に数字を書くと、その回だけ lv の設定を無視して 指定した量で増減 します。lv を書き換えるほどではないけど「ここだけ大きく上げたい」というときに使います。

A T120 o4 L8 Q4
A V40 c )8 c )16 c )24 c )32 c

)8 )16 )24 )32 と段階的に大きい刻みで上昇。lv を変えずに 1 音ずつジャンプ幅を変えられます。

A T120 o4 L8 Q4
A V60 c ) c ) c )40 c ( c ( c (40 c

通常の ) ((既定 lv8)の中に )40 (40 を混ぜた例。普段は細かく動かしつつ、節目だけ強くアクセントを付けるような使い方に向きます。

$Accent モード — 大文字 / 小文字で強拍 / 弱拍

ここまでは「ベロシティを 1 つの値で管理」してきましたが、もっと 構造的に強弱を書きたい ことがあります。たとえば「拍頭は強く、それ以外は弱く」というパターン。

$Accent=On を宣言すると、音名の大文字 / 小文字 がそのままベロシティの強弱に対応するようになります。

モード 大文字音符 小文字音符
$Accent=Off(既定) 大小同じ(普通の音名) 大小同じ
$Accent=On V のアクセントベロシティ(強) v の非アクセントベロシティ(弱)

つまり $Accent=On 時は、V100 v50 のように 2 種類の値を設定 して、書き分けで使います。

順序の注意$Accent=On先に 宣言してから V v を設定してください。逆の順序だと V/v が強弱の値として正しく拾われません。

A T120 o4 L8 Q4 $Accent=On V100 v50
A Cccc Cccc Cccc Cccc

C だけ強拍(V100)、c は弱拍(v50)。Cccc を 4 回並べると、4 拍子の頭にアクセントが入る リズムパターンになります。

別の音で書いてもパターンは保たれます。

A T120 o4 L8 Q4 $Accent=On V100 v50
A Cdef Gdef Cdef Gdef

CG だけ強く、間の def は弱く。同じことを V) ( で書こうとすると毎拍コマンドが必要ですが、Accent モードなら 音名の大小 だけで強弱が表現できます。

組み合わせて短い演奏にしてみる

ここまでの要素で、4 小節の演奏を組んでみます。

A T120 o5 L8 Q4 $Accent=On V100 v50
A Cccc Eeee   Cccc Eeee   Aaaa Cccc   Gggg Cccc
B o3 L4 V80
B c2 g2       c2 g2       a2 f2       g2 c2

A チャンネルは $Accent=On拍頭の C / E / A / G が強拍、間の c / e / a / g は弱拍。B チャンネルは半音符の根音で I → V → I → V → vi → IV → V → I の進行。A と B はそれぞれ 4 小節(16 拍)で揃っています。

Cccc 1 つで 1 拍ぶんの「タッタッタッタ」が書ける、というのが Accent モードの書き味の良さです。

次回

次の #4「テンポ・調号・キーシフト」 では、曲全体に効くパラメータ — T(テンポ)、{+f} {-eab}(調号)、K(キーシフト)を扱います。

連載全体の目次は シリーズ一覧 からどうぞ。

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