MML 入門 — ブラウザで 1 音から曲を組み立てる

Published: May 20, 2026 by mewlist

「音楽を作る」と聞いたら、ピアノを弾く、楽譜を書く、DAW でマウスを使って音符を並べる、あたりが思い浮かぶでしょうか。実はもう一つ、文字を打って音楽を書く という方法があります。

MML(Music Macro Language) という記法です。チップチューンと呼ばれる音楽の多くも、この記法で書かれていました。

今回は MewMMLPad Web プレイヤー を使って、ブラウザだけで MML を試してみます。インストール不要、無料です。記事の各 MML 例の下にプレイヤーを直接埋め込んであるので、その場で ▶ ボタンを押して音を聴きながら読み進められます。 編集して書き換えてみることもできます。

まず 1 音だけ鳴らしてみる

プレイヤーのエディタに、これだけ打ち込んでみてください。

A o4 c

で再生できます。書き換えてその場で試すこともできます。

ド (C) が 1 つ鳴ります。Ctrl+Space でも再生できます。

それぞれの文字の意味は次の通り。

  • A — チャンネル(演奏する「行」みたいなもの。A〜P まで 16 個)
  • o4 — オクターブ 4。真ん中のドは o4 c
  • c — ド

これが MML の基本構造です。チャンネル → 設定 → 音符、を文字で並べていく。

ドレミファソラシドを並べる

音符を続けて書けば、その順に鳴ります。

A T120 o4 L8 V100 cdefgab>c

これでドレミファソラシドが鳴ります。

新しい記号:

  • T120 — テンポ 120 BPM
  • L8 — 音符のデフォルト長さを 8 分音符に
  • V100 — 音量(ベロシティ)100
  • > — オクターブを 1 上げる

で再生できます。書き換えてその場で試すこともできます。

音の長さを変える

L8 でデフォルト長さを設定しましたが、個別の音符にも長さを書けます。

A o4 c4 d4 e2 f1

で再生できます。書き換えてその場で試すこともできます。

  • c4 — 4 分音符のド
  • d4 — 4 分音符のレ
  • e2 — 2 分音符のミ
  • f1 — 全音符のファ

数字が大きいほど短いというのが最初は不思議に感じるかもしれません。4 は「全音符を 4 つに割ったうちの 1 つ」つまり 4 分音符、8 は「8 つに割った 1 つ」で 8 分音符、と覚えると馴染んでいきます。

2 チャンネル重ねる

行(チャンネル)を増やすと、複数の楽器を同時に鳴らせます。

A T120 o4 L8 V100 cegcegce
B      o3 L4 V70  c4 g4 c4 g4

で再生できます。書き換えてその場で試すこともできます。

A チャンネルが高音のアルペジオ、B チャンネルが低音のコード。T120 のような曲全体に効く設定は A 行にだけ書きます。

これを書いて再生すると、2 つの音が同時に鳴ります。和音記号のようなものを使わずに、行を増やすだけで重ね合わせができる、というのが MML 的な発想です。

繰り返しで「曲っぽく」する

同じパターンを何度も書くのは面倒です。[...]N で N 回繰り返せます。

A T120 o4 L8 V100 [cdefgab>c<]4
B      o3 L4 V70  [c4 g4 c4 g4]4

で再生できます。書き換えてその場で試すこともできます。

これで 4 回繰り返されます。

繰り返しを入れ子にしたり、変奏を足したり、マクロでパターンを定義して使い回したりすると、だんだん「曲」になっていきます。

実際の曲を覗いてみる

ここまでの記号で書ける範囲だと「練習」感がありますが、本格的な曲も同じ MML 記法で書けます。

サンプル曲を読み込んでみてください。8 チャンネルを使った実例です。

で再生できます。8 チャンネルが順次入ってくる構成です。

このサンプルがどう組み立てられているかの解説は サンプル曲で学ぶ にまとめてあります。マクロ、変数、ピッチベンド、グリッサンド、タプレットといった発展的な記法が、1 つの曲の中でどう組み合わさっているかを 1 行ずつ追えるよう書きました。

つぎは何ができる?

ここまでで触れたのは、まだ MML の基本部分だけです。以下のような表現も同じテキスト 1 枚で書けます。

  • ピッチベンド(音をゆっくり別の音に滑らせる)
  • グリッサンド(音階を駆け上がる / 駆け下がる)
  • タプレット(連符、3 連符 / 5 連符 / 7 連符)
  • マクロ、変数(リズムパターンを定義して使い回す)
  • 調号、トランスポーズ(キー変更)
  • ピッチエンベロープ、ボリュームエンベロープ、LFO(内蔵シンセの音色作り)

全コマンドは MML リファレンス に整理してあります。

各機能を深掘りする連載

本記事はシリーズ全体の入口です。今後、MML の各機能(音程・長さ・休符・タイ・ベロシティ・テンポ・調号・ピッチベンド・グリッサンド・タプレット・繰り返し・マクロ・変数・パン・プログラムチェンジ・DAW ルーティング)を、1 つずつ深掘りする連載 を順に公開していきます。各記事も今回と同じく WebPlayer を埋め込むので、機能ごとの挙動をその場で聴きながら読めます。

連載一覧は こちら からどうぞ。

DAW フローに MML シーケンサーを組み込む

すでに DAW で DTM をしている方なら、MewMMLPad の VST3 / スタンドアローン版 がそのまま選択肢に加わります。MML を「もう一つの打ち込み手段」として、いま使っている DAW のフローに組み込めます。

具体的にできること:

  • Web 版で書いた曲をそのまま持ち込める:Web プレイヤーの Save / Load 形式は VST3 / スタンドアローン版と同じです。ブラウザで作ったスケッチをそのまま読み込んで、続きを書けます
  • DAW に MIDI を流す:VST3 として DAW に挿し、MewMMLPad の出力を別トラックの音源へルーティング。チャネル AP がそのまま MIDI ch 1〜16 に対応するので、マルチティンバー音源なら 1 プラグインで最大 16 パートまで担当できます
  • MIDI クリップとしてドラッグ書き出し:編集中の MML を MIDI クリップとして DAW のトラックに直接ドラッグ。骨組みは MML で、仕上げは DAW、という分業が成立します
  • 本格的な尺のシーケンス:ブラウザ版は短いスケッチ向けですが、VST3 / スタンドアローン版は楽曲全体を書ける尺と性能を持っています
  • 内蔵シンセも同梱:スタンドアローン単体で完結します。試聴・スケッチ・MIDI 書き出しまでひととおり

ピアノロールに音符を置くのと、MML で書くのは思考のモードが違います。両方を行き来できるようにしておくと、曲作りの幅が広がります。

興味がある方は、ぜひ BOOTH の商品ページをチェックしてみてください。

BOOTH で詳細を見る

ショップページ: mewlist.booth.pm/items/8284100

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