Published: May 21, 2026 by mewlist
MML 連載シリーズ の 1 回目です。本シリーズで扱う MML 記法は MewMMLPad(VST3 / スタンドアローン / ブラウザ版) のものです。記事内の例はすべて MewMMLPad の Web プレイヤー上で動かしながら確認できます(PMD / FMP など他環境の MML とは方言が異なる箇所があります)。
今回は MML を書くうえで最も基本になる、音程(どの高さの音を鳴らすか)と 音符の長さ(どれくらい鳴らすか)を扱います。
具体的に扱う記号:
- 音名:
c d e f g a b - 臨時記号:
+(シャープ)/-(フラット)/=(ナチュラル) - オクターブ:
o<数字>と<> - 音符の長さ:
L<数字>でのデフォルト指定、c4のような個別指定、付点、加減算
辞書的な仕様は MML リファレンス に整理してあります。本記事はそれを「書いて、聴いて、覚える」順番でなぞる構成です。
7 つの音
MML で音を鳴らす最小単位は 音名 1 文字 です。ドレミファソラシは英語表記でこうなります。
| ドレミ | 英語 | MML |
|---|---|---|
| ド | C | c |
| レ | D | d |
| ミ | E | e |
| ファ | F | f |
| ソ | G | g |
| ラ | A | a |
| シ | B | b |
行の頭はチャンネル指定(A〜P の大文字 1 文字)で、その後に音を書いていきます。
A o4 cdefgab
大文字 C D E F G A B でも同じ音が鳴ります。これは $Accent=On(アクセントモード)が有効なときだけ意味の違いが出る、専用の使い分けなので、普段は小文字でも大文字でも、好みで構いません。本シリーズでは見やすさのために音名を小文字、コマンドや設定は大文字、で統一していきます。
シャープ・フラット・ナチュラル
半音上げ下げは音名の 直後 に記号を付けます。
| 効果 | 記号 | 例 | 意味 |
|---|---|---|---|
| シャープ(半音上) | + または # |
c+ |
C♯ |
| フラット(半音下) | - |
c- |
C♭ |
| ナチュラル | = |
c= |
その音だけ調号を無視 |
# も使えますが、本シリーズでは MML の標準である + を使います。
A o4 c c+ d d+ e f f+ g g+ a a+ b
12 音すべてを順に鳴らす、いわゆる クロマチックスケール です。下行(高い音から低い音へ)に書きたい場合は、音名自体を高い方から並べます。
A o5 c <b a+ a g+ g f+ f e d+ d c+ c
- のフラットでも同じ音域を書けます(例:b- は A♯ と同音)。シャープ・フラットのどちらを使うかは、調や旋律のニュアンスに合わせて選びます。
=(ナチュラル)は、調号(あとの記事で扱います)で半音上下を設定している状態でも、その音符だけは元の音に戻すという打ち消し記号です。普段はあまり書きませんが、調号と組み合わせるときに役立ちます。
オクターブ
音域は オクターブ で指定します。
| 記号 | 動作 | 範囲・既定 |
|---|---|---|
o<数字> |
オクターブを絶対指定 | 0〜8、既定は o4 |
> |
1 つ上げる | — |
< |
1 つ下げる | — |
中央 C(ピアノの真ん中のド)は o4 c です。
A o3 c o4 c o5 c o6 c
< と > は 相対指定 で、現在のオクターブから 1 段ずつ動かせます。スケールを書いているとき、最後の c だけ次のオクターブに上げたい、みたいな場面でよく使います。
A o4 cdefgab>c
最後の >c で、シから 1 オクターブ上のドへ滑らかにつながります。
音符の長さ
ここからが、MML が「楽譜」になるための要素です。
デフォルト長さ:L
L<数字> でデフォルトの音符長を指定します。数字は 「全音符を何個に割ったか」 を表します。
L |
意味 |
|---|---|
L1 |
全音符 |
L2 |
2 分音符 |
L4 |
4 分音符(既定) |
L8 |
8 分音符 |
L16 |
16 分音符 |
L32 |
32 分音符 |
数字が大きいほど短い、という感覚は最初は不思議ですが、「全音符を 4 つに割ったうちの 1 つ = 4 分音符」と覚えると馴染みます。
A o4 L8 cdefgab>c< L4 cdefgab>c< L2 cdefgab>c<
同じスケールを、8 分・4 分・2 分の順に並べました。後ろにいくほどゆっくりになります。
個別指定:音符の直後に数字
各音符のすぐ後ろに数字を書くと、その音だけ長さを上書きできます。
A o4 L8 c d e2 f g a4 b>c
e2(2 分音符のミ)と a4(4 分音符のラ)だけが伸び、他は L8 のデフォルト(8 分音符)で進みます。
付点(.)
長さの後ろに . を付けると 1.5 倍 になります。これが付点。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
c4. |
付点 4 分音符(4 分 + 8 分) |
c4.. |
二重付点 4 分音符(4 分 + 8 分 + 16 分) |
c4... |
三重付点 4 分音符 |
A o4 L8 c4. d g4. e c2
付点を混ぜると、いわゆる 「タッカ」のリズム(長 → 短)が書けます。
加減算(+ / -)
長さを 足し引き できる構文もあります。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
c4+8 |
4 分音符 + 8 分音符(= 付点 4 分相当) |
c4+8. |
4 分 + 付点 8 分 |
c4-32 |
4 分 − 32 分(= 7/32 拍) |
c1-4-8 |
全音符 − 4 分 − 8 分(連続適用可) |
c4+8 と c4. は同じ長さですが、書き分けたい場面でどちらも使えるようにしています。32 分を引いて少しだけ短くする c4-32 のような、付点では書きにくい中途半端な長さも組めます。
A o4 L4 c c+8 d c4-32 e2
組み合わせて短い演奏にしてみる
ここまでで触れた要素だけで、それなりに音楽的なフレーズが書けます。
A T120 o5 L8 c d e g. e16 d c2
B o3 L4 c2 g2
A チャンネルがメロディ(音名 + 個別長さ + 付点 + 16 分音符)、B チャンネルが低音の根音 2 つ。チャンネル名を変えて 2 行に並べるだけで、自然に和声が乗ります。
次回
次の #2「休符・タイ・スラー」 では、音と音の つなぎ方 と 切り方 を扱います。R(休符)、&(タイ)、^(スラー)の使い分けで、フレーズに息継ぎと表情を加える話です。
連載全体の目次は シリーズ一覧 からどうぞ。